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NPO法人日本瓦葺技能継承甍会

活動報告

活動報告一覧

平成25年度 第4期 通常総会

2013年03月02日

H25総会1
平成25年度通常総会(第4期)報告書
 平成25年2月2日(土)~3日(日)京都府京都市嵯峨嵐山 コミュ二ティー嵯峨野に於きまして、
平成25年度・第4期通常総会が開催されました。
 底冷えのする京都らしく寒さが身にしみ、手足の先も悴む嵯峨野の地に、ご来賓として、後藤佐雅夫様(公益社団法人・全国国宝重要文化財所有者連盟事 務局長)・澤元教哲様(㈱天峰建設 代表取締役社長 日本伝統建築技術保存会会員)・浅田晶久様(浅田製瓦工場)をお迎えし開催致しました。隔年で京都の地に戻り、開催される総会に訪れた参加者総数は38名。各議案では、後継者育成事業として2年に跨り開催されて来た中級伝統的瓦葺技能研修会や初級の研修会の報告、移動研修での成果報告など。また適正な予算の執行と次年度に向けた予算付や多岐にわたる事業計画の実施。総会次回開催地では、広島、福岡が候補に挙げられ、決定を執行部に委ねられ、7議案の上程も無事承認可決されました。会の活動や理念が各地に浸透し始めている証が、総会参加者の若返りや各事業での参加者の増加。頻繁に続く入会への問い合わせなど、会に対する期待の表れであると実感しております。皆様のご期待に添えますよう執行部一同次年度に向け、更なる飛躍と文化財保護に携わる夢を実現させるべく、活動を充実させて行くことをお誓いし無事閉会となりました。
本年度の総会後には、2部構成で特別講演を準備させていただきました。
第1部では、関西大学 環境都市工学部建築学科(都市設計研究室)准教授 木下光先生をお迎えし、
演題「伝統建築工法と瓦:瓦から学ぶこと」として、涼しい快適な瓦屋根の持つ特性は下地と瓦、瓦の多孔性に着目し、文化財から得られたデータやスリランカ・ベトナムハノイの瓦屋根の現状を交えたお話。様々な製法での瓦の開発や魅力の伝え方。瓦の課題と新しい取り組みについては、多様性を求め様々な分野への進出を推進するアイデアや手法などを解説して頂けました。
第2部では昨年に引き続き、金沢工業大学 環境・建築学部 建築系建築学科 教授 博士(工学)の後藤正美先生をお迎えし、ご専門の『木構造/耐震工学』の観点より、今回は「E-ディフェンスから見る瓦の重要性」と題し講演をお願い致しました。一昨年より続いております、先生は国土交通省の3ヶ年プロジェクトである『伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験 検討委員会』の実験検証部会の主査としてご活躍されており、実際に伝統建築構法を使い瓦葺きされた民家を振動台で揺らし、壊れ具合や検証実験データを取りまとめ、実際の改修や新築で使える設計基準作りをされております。之までのE-ディフェンスの進捗状況や報告に続き、昨年9月に行いました再実験の模様として、振動映像と伝統構造がいかに地震に強いか、屋根の重量と建物バランスの需要性を説明していただきました。集大成となる本年は、今まで成し得なかった日本建築、伝統建築工法の数値化実現に向け、ご活躍をいただけると確信。瓦を残して行く立場としてこの上ない強力なサポートを受けていると実感し、講演を拝聴いたしました。
中級 伝統的瓦葺技能研修会の報告では、平成24年度1年を通じて盛会であった模様や、研修最後の終了試験の結果が塚本理事長よりなされ、研修会に参加されていない会員やオブザーバーは、研修内容の充実さにすっかり感じ入り、今年度より始まる第2期の研修に早くも期待を寄せておりました。
 恒例の懇親会では久しぶりに参加された会員の方々が、親睦を深める姿はとても懐かしく見受けられました。近況報告がなされ、佳境を迎えると何時ものように技能・技術論の熱い討議が其処此処で繰り広げられ、話の花が咲居ておりました。宴中程では、写真コンクールの発表が行われ、静岡県の河原﨑太輔の山門と袖塀の作品が最優秀賞に輝きました。各作品の講評では德舛理事より、日頃の技に対する
考え方から取り組み方に対する姿勢まで、種々の角度より物事を考える事の大切さを写真より読み取り、評価としても伝えられ、技能者としての大成に期待を添えた講評を行いました。
2日目には、ご来賓として総会に花を添えて頂きました、全文連の事務局長、後藤佐雅夫様に見学研修講師をお願いし、京都花園にあります臨済宗総本山、妙心寺 仏殿・法堂・庫裡・王鳳院開山堂 他文化財の見学研修を行いました。壮大な伽藍の中は至る所に塔頭が整然と立ち並び、その空間は見る者を圧倒しています。重ねた時間が物語る日本建築文化の偉大さを改めて実感するひと時となり、肌をさす寒さも忘れさせ、会員一同が後藤先生の解説に耳を傾け、その言葉に没頭しておりました。
食後解散となりましたが、次回研修会、グランプリ大会、総会等各所での再会に心を弾ませ、寒さの厳しい京都の地を後にして行きました。
 ご参加頂きましたご来賓の皆様、会員の皆様、オブザーバーの皆様には大変感謝申し上げます。
H25総会2 H25総会3 H25総会4 H25総会5

平成24年度 文化財見学研修会

2012年12月17日

24年度文化財見学研修-1
平成24年12月7日(金)兵庫県姫路市、姫路城の見学会を行いました。
城内案内のもと約2時間程見学をしました。現在、平成の大改修が行われ、工事は最終段階にきていて瓦工事はほぼ完成した状態でした。また、大天守の周りには工事の足場が組まれ、カバーで覆われている状態でした。外観に大天守の絵が描かれていました。建物は、9階建て。天守南側から入ります。内部は、1階が展示スペースになっており、そこからエレベーターで一気に8階まで上がります。何しろガラス張りのエレベーターのすぐ外に天守台の石垣、そして天守五層分を真近に見ることができました。姫路城は、1346年に造られた、元々は小さな城でした。その後1580年に当時羽柴秀吉と名乗っていた、後の豊臣秀吉が、対毛利の拠点とするために譲り受けて改築しました。姫路城が現在の姿になったのは、江戸時代に入ってからになります。池田輝正が大がかりな改修を加えて現在のようになったようです。展示場では軒巴瓦・鬼瓦・鯱などの時代背景を感じた展示でした。豊臣秀頼に嫁いだ2代目将軍徳川秀忠の長女千姫が、大阪城落城の後、本多忠刻に再嫁して過ごした場所が、ここ姫路城西の丸。千姫のために建てられた壮大な建物でした。見学後記念撮影をして近くでお茶を飲みながら、地元の表様の話を聞いた後解散。
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『平成24年度 後期 中級伝統的瓦葺技能研修会』11月静岡会場 活動報告

2012年11月30日

24年度中級11月-1
平成24年度 中級伝統的瓦葺技能研修会
日時  平成24年11月23日(金)~25日(日)
会場  株式会社 瓦粋 研修場
参加者 研修生 12名 オブザーバー参加者10名 補助員3名 内部講師 理事長以下6名
 
第1日目
・9時30分集合受付を開始し、会場セッティングならびにミーティングを執り行う。
・架台施工研修も佳境に入り、刀根丸の仕上げ、袖丸の仕上げ、縋破風の収まり検証と縋袖丸の仕上げ
 に入ってゆきます。各部位で仮合わせや加工が済んだ瓦を、納まり場所にそぐう条件や施工方法につ
 いて検証し、納めてゆきます。刀根丸の考え方では破風尻で起こる一度むくり、反りに変化する曲率
 変化による刀根丸線の出し方や、拝み巴迄の線の出し方。袖丸部位での納では垂れの角度の考え方や
 納に注意する点、箕甲最深部の高さの検証。縋袖丸では、下端線の意匠的考察や袖丸から素丸に変化
 する過程での考え方など、仕上げに関する急所の研修に終始し、皆が真剣に「美しい納まり」と向き
 合い、明日に控えた鬼瓦施工の準備を終えた時点で初日の作業が終了。
第2日目
・実技として最終段階、各鬼瓦の取り付けへと進んでまいります。
 大鬼、降り鬼、隅鬼、二の鬼、妻降り鬼、それぞれの鬼立ちの位置を検証し、実際に鬼を立てて行き
 ます。大鬼では刀根丸線、掛瓦瓦頭線、破風板の転び線等大鬼の角度による見え方や、仕上がり鳥衾
 線、棟仕上がり線との錯覚等据付角度の検証を行い、受講生により取り付け施工。降り鬼瓦では、平
 部流れ全長との取り付け位置関係や、教科書等により伝えられている、取り付け位置との違いを検証
 して行きました。隅鬼、二の鬼では振れ隅による化粧隅木と野隅木の角度の違いから起きる、向きの
 違いと取り付けに対する考え方、また、隅棟熨斗瓦の長さと、二の鬼取り付け位置に交わる素丸通り
 等を考察。急所であるポイントの一つ、隅棟、掛瓦破風尻の交点で暗部に取り込まれる刀根丸の入り
 込みから、隅棟尻高さと降り棟取り付位置高さの関係の考察まで、美しく仕上げるための納まりを研
 修。受講生、オブザーバー共々、講義の内容に一言一句聞き漏らしの無い様に、最後まで真剣にメモ
 を取る姿が見られ、会場は真剣さが漂う最終日となりました。
第3日目
・2年間の集大成いよいよ中級研修会終了試験の始まり。12名の受講生は午前中3時間半を掛け、本
 葺き軒流れ断面、水平断面課題図の製図と、傘勾配隅勾配角度の求め方と作図。午後には2年間で受
 講した講義に対する習熟度を調査する筆記試験を執り行いました。やはり試験、皆一様に真剣な眼差
 しで取り組んでおりました。2年間苦楽を共にした12名の仲間、緊張から解き放たれ、お互いの安堵
 の顔と苦労をねぎらい合う言葉が飛び交うその光景は、素晴らしく充実した2年間を物語っておりま
 した。その間オブザーバー達は、今までの研修会で見聞きして来た知識と、見学先8ヶ寺に及ぶ写真
 資料を下に、寺院建築見学研修へと足を運びました。様々な納まりを目の当たりにして、納まりの推
 測から考察法等、見学研修も真剣です。次に見据えた中級研修参加に向け、更なる志を胸に真剣な見
 学研修となりました。2年間の中級研修会は、研修生12名に修了証を授与、合格通知が届くのを待
 つと共に、更なる飛躍の約束と2年後の上級研修会での再会を誓い帰路へと向かいました。
 2年間の研修会開催にあたり、諸先生方のご指導、ご支援に感謝申し上げると共に、受講生の皆様、
 オブザーバー参加者の皆様、ご参加頂いた全ての皆様にお礼申し上げます、誠に有難う御座いました。
24年度中級11月-2 24年度中級11月-3 24年度中級11月-4 24年度中級11月-5

『平成24年度 後期 中級伝統的瓦葺技能研修会』9月静岡会場 活動報告

2012年11月30日

24年度中級9月-2
平成24年度 後期 中級・伝統的瓦葺技能研修会 9月報告書
 
日時  平成24年9月28日(金)~30日(日)
会場  株式会社 瓦粋 研修場
参加者 研修生 12名 オブザーバー参加者7名 内部講師 理事長以下8名 補助員2名
    総勢29名参加にて開催
1日目 
 今回は、瓦を納める作業が主体となります。7月に選別を済ませた瓦をどのような手法を用いて納めれば、自分がイメージした屋根の納まりとなるのか、又は原寸図通りの納まりになるのかを学びました。
まず、敷平瓦・唐草瓦・の納めでは、3点法を用いて納めます。3点法は反りのある屋根を納める場合最も多用される手法なので、その原理や使用する場合の目線の位置、応用方法についての講習となります。受講生それぞれが、疑問点を講師陣に問い合わせながら作業が進んでいきます。
2日目
 2日目の作業は、切隅・平瓦・軒巴の納めと進んでいきます。軒巴はその後に繋がる素丸瓦の通り、高さを考慮して納め尚軒巴かわらの鏡の通りを通すための配慮が必要です。
平瓦は、縦桟木に対してどの位置にあるべきか、平瓦の捩じれは適切か、水垂の隙は適切か等、細心の注意を払い納めていきます。オブザーバー参加者も今回の研修では実際に瓦を納めることは出来ないなかでも、普段の仕事をふり返り積極的に講師陣へ、疑問・質問を行いスキルアップの姿勢が伝わりました。作業はこの後丸瓦葺、掛唐草施工へとつづきます。
3日目
 この3日間を通し、各班毎に交代で作業主任を選任し、資材の配置や人員の作業分担について指示を出すよう指導し、今後の技能後継者を指導する立場としてのスキルと自覚も身につけてもらうな、研修会を目指し講師陣は指導にあたりました。
24年度中級9月-1 24年度中級9月-3 24年度中級9月-4 24年度中級9月-5

『平成24年度 後期 中級伝統的瓦葺技能研修会』7月静岡会場 活動報告

2012年09月03日

24年度中級7月-1
平成24年度 後期 中級・伝統的瓦葺技能研修会 7月報告書
 
日時  平成24年7月27日(金)~29日(日)
会場  株式会社 瓦粋 研修場
参加者 研修生 12名 オブザーバー参加者10名 内部講師 理事長以下8名 補助員2名
 
1日目 
 今回から実技講習へと入っていきます。実技講習では、23年度前期の講習で作成した原寸図を基に屋根の葺き上がりイメージを施工に反映するための技能を学んでいきます。
まず、空葺では、野地の状態が瓦の葺き上がりに大きく影響するため、野地修正が重要になります。野地修正の基準は、原寸図を基に屋根全体がバランスよく納まるように各基準点を設定し、野地修正を行います。今回は流し桟木での野地修正を学び、横桟木の基準出しへと進んでいきます。受講生は普段の施工方法と照らし合わせながら、より良い技能を身につけようとする姿勢が見られました。
2日目
 横桟木打ちから、横割り付け墨出し、縦桟木打ちと作業が進む中、割付け基準となる屋根の中心、破風尻の基準、隅先の基準出しでは、受講生はもとより、オブザーバー参加者からも多くの質問が寄せられました。この後作業は、箕甲段野地作り、瓦座面戸施工へと進みます。これらの作業のでは、治具(作業を効率よく行う為に考案した道具)を使用しての作業を学びました。治具の形状は考案した人により様々ですが、作業の基準となるポイントを的確に捉え応用性かあることが重要です。空葺で瓦を葺く上でこれらの作業工程が屋根の仕上りの8割を決める重要な工程となり、土葺での基準釘がこれにあたるので、受講生、オブザーバー参加者ともメモを取りながら真剣な表情で作業に取り組みました。
3日目
 瓦座面戸取り付けを済ませ、瓦選別作業へと進みます。瓦選別は、長さ、幅、捩じれ、谷の深さ、ノサ・カギ等、瓦の形状・状態を的確に把握することにより、屋根のどの位置に使用するかを決める重要な作業です。選別に使用する治具も、瓦の納まり状態を考慮してどのポイントを計測するのが良いのか、選別した瓦をどの位置に使用するかを、一覧表を作成し検証する手法を学びました。
 又、3日間を通して作業の合間では、受講生は描き直した原寸図を改めて講師陣に検証してもらい、オブザーバー参加者は縄弛み線の実測検証を行うなど、この講習会でより多くの知識を持ちかえろうとする姿勢で溢れ、活発かつ充実した講習会となりました。
24年度中級7月-2 24年度中級7月-3 24年度中級7月-4 24年度中級7月-5
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